コラム

『宇都宮セントラルクリニック不正アクセスの被害に』

2025年2月10日、宇都宮セントラルクリニックはシステム障害を検知し、調査の結果、ランサムウェア攻撃を受けたことが判明しました。 この攻撃により、最大約30万名の患者および関係者の個人情報(氏名、生年月日、住所、診療情報など)が外部に漏えいした可能性があります。金融機関の口座情報やクレジットカード情報、マイナンバー情報は含まれていません。現在、院内システムは使用不能となっており、診察および健診業務が制限されています。クリニックは警察や関係機関と連携し、システム復旧と再発防止に全力で取り組んでいます。

医療機関は患者の個人情報や診療記録など、極めて機密性の高いデータを扱っています。これらの情報はサイバー攻撃者にとって高い価値を持つため、医療機関はサイバー攻撃の主要なターゲットとなり得ます。特にランサムウェア攻撃は、システムを麻痺させ業務を停止させるだけでなく、データの漏えいや改ざんといった深刻な被害をもたらします。

1. セキュリティ教育の徹底:全職員に対して定期的なセキュリティ教育を実施し、フィッシングメールの識別方法や安全なパスワード管理など、基本的なセキュリティ意識を高める。

2. システムの定期的な更新とパッチ適用:使用しているソフトウェアやシステムを最新の状態に保ち、既知の脆弱性を早急に修正する。

3. 多層的な防御体制の構築:ファイアウォール、ウイルス対策ソフト、侵入検知システムなど、多層的なセキュリティ対策を導入し、外部からの攻撃を防ぐ。

4. データのバックアップと復元計画の策定:定期的にデータのバックアップを行い、サイバー攻撃やシステム障害時に迅速に復元できる体制を整える。

5. アクセス権限の適切な管理:職務に応じてアクセス権限を最小限に設定し、不必要な情報へのアクセスを制限する。

サイバー攻撃のリスクは完全には排除できないため、万一の事態に備える手段としてサイバー保険の活用が注目されています。サイバー保険は、サイバー攻撃による損害賠償責任や事故対応費用、調査費用、対策費用、サイト停止中の利益損害など、幅広い補償を提供します。  また、保険加入時にはセキュリティ診断や専門家によるアドバイスなどの支援サービスも受けられるため、リスクマネジメントの一環として有効です。

宇都宮セントラルクリニックの事例は、医療機関がサイバー攻撃の標的となり得る現実を示しています。患者の信頼を守り、医療サービスを安定的に提供するためには、日頃からのセキュリティ対策の強化と、万一の事態に備えたサイバー保険の導入が不可欠です。医療機関は技術的対策と経済的備えの両面から、サイバーリスクに対処する体制を整えることが求められます。

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