コラム

『ネット証券の不正取引に学ぶ、サイバー保険の重要性』

2025年3月、ネット証券大手である楽天証券にて不正アクセスによる株式の勝手な売買被害が相次ぎました。フィッシング詐欺により顧客のID・パスワードが盗まれNISA口座を含む保有株式が無断で売却されるという衝撃的な事案です。購入されたのは中国株などユーザーの意図とは明らかに異なる銘柄でした。

同様の事例は過去にもあり2020年にはSBI証券にてリスト型アカウント攻撃による不正アクセスが発生。顧客情報を使って勝手に銀行口座が変更され資金が引き出されるという被害が発生しました。

こうした一連の事件に共通するのは、「企業が提供するサービスを悪用され、顧客が直接被害を受ける構図」であり企業の信頼性が一気に揺らぐ事態でもあります。

ネット証券各社は現在、ログイン時のリスクベース認証や二段階認証の導入、アクセスログの監視強化といったセキュリティ対策を講じています。しかしそれでもなお攻撃は完全には防げません。

ここで改めて注目したいのが「サイバー保険」です。

今回のような不正アクセス被害に対して、企業が負担することになる以下のようなコスト——

・顧客対応に関するコールセンター設置・補償対応

・不正アクセスを防ぐためのシステム再構築

・信頼回復のための広報活動や謝罪対応

・想定される訴訟費用や和解金

・一時的な営業停止や顧客離れによる売上損失

これらはすべて、サイバー保険の補償対象となり得る部分です。

攻撃の対象は大手企業に限られません。中小企業や個人事業主も取引先や顧客情報を持っている限りサイバー攻撃のリスクは存在します。実際に社内の1人がフィッシングメールに引っかかるだけで情報漏えいや金銭被害に発展する可能性があります。

だからこそ、万が一の損害を補償できる体制を整えることが今強く求められているのです。

サイバー攻撃はもはや”大企業の話”ではありません。ネット証券の不正取引被害を他山の石とし、自社のセキュリティ体制と保険の備えをいま一度見直すことが必要です。

サイバーセキュリティ保険のご案内

PAGE TOP