私が前職の信用金庫で融資営業をしていたとき「財務登録」という仕事がありました。
これは融資先の法人から預かった決算書を「審査部」に提出し、内容を評価し今後の融資方針などを決定する作業です。今でいうと「格付け」「スコアリング」「自己査定」などに該当します。
特定の数社について財務登録で決算書を提出すると審査部長から指摘の連絡があります。
「役員貸付金が前期からまた増加している!早急に対応策を報告のこと。改善されなければ要注意先に転落!」
との指摘です。
最近まで金融機関が融資先へ審査する際に活用されていた「金融検査マニュアル」でも役員貸付金については自己資本の部から差し引くものとするという厳しいものとなっていました。
役員貸付金とは社長や役員が経営する会社のお金を個人に流用したときに決算書上資産の部に計上されるものです。
会社にとっては「貸しているお金で回収して換金できる」資産となりますが、ほとんどのケースで回収されず滞留し、また役員貸付金が増えていきます。
また貸付金ですので利息(認定利息)が発生します。利息は損益計算書上雑収入(利益)にあたるので法人税の対象になります。
また、ほとんどのケースで社長が経営する会社に認定利息を支払うことはないので未収入金となり、会社にとっては受け取っていないお金に対して現金で法人税を支払う形となり、元々の役員貸付金に未収入金が加わり、資産の部の役員貸付金が増えた形で計上されるため、融資の審査が厳しくなるという悪循環になります。
これら役員貸付金を解消するための手段としては
1.毎月の役員報酬の中から役員貸付金を返済していく
→元金が中々減らない。したがって銀行や信用金庫の格付けも改善しない。
2.退職金支給時に役員貸付金を清算する
→そもそも在職中役員貸付金勘定が残り続けるので融資審査上のマイナス要因が続くうえ、税務上の問題も続く。退職金で清算すると老後資金がなくなる。
3.業績を上げて役員報酬を増やして役員貸付金を一括返済する
→そもそも業績を大きく上げるのが困難、役員報酬を多額にすると税金が多額となる。
4.社長が個人で銀行や信用金庫から融資を受けて返済する
→担保を求められる。仮に融資を受けられたとしても個人では他のローンが受けられづらくなる。また法人と一体での評価(名寄せ)となり法人の融資枠に影響を及ぼす。
これらの理由で役員貸付金の解消が難しくなっています。
銀行や信用金庫主導で解決できる理論上の方法(上記4に近い方法ですが)として
社長個人に銀行や信用金庫が役員貸付金相当額を融資し
↓
融資を受けたお金で経営する会社へ役員貸付金を返済
↓
返済を受けた会社は融資をした銀行・信用金庫へその金額を会社名義の定期預金にする →この手続きで役員貸付金が現預金に変わる
↓
この定期預金に銀行・信用金庫は質権を設定し担保とする
↓
社長は毎月口座振替で返済を進めていく
この手続きができれば決算書上役員貸付金は消えますが、融資金で定期預金を契約することは「即時両建」と呼ばれる禁止行為で、行った行員や職員は厳しいおとがめを受けます。
そんな経営者・金融機関・税理士の悩みのタネを解消する仕組みが
「役員貸付金清算プラン」になります。
この仕組みを知りさっそく信用金庫時代役員貸付金を指摘され融資を受けることに苦労していた先へ案内。
さっそく取り組み取引金融機関へこの仕組みを伝えたところ、理解・賛同を得ることができ、この会社は以降の資金調達を円滑に行うことができるようになりました。
この役員貸付金清算プラン、主に税理士事務所からの紹介・相談で取り組むケースが多かったです。
やはり顧問先企業が銀行や信用金庫から指摘され何かうまい改善方法や解決策がないかということで相談を受け、調べた結果、この「役員貸付金清算プラン」を見つけ依頼してくるというパターンです。
この役員貸付金、日本政策金融公庫や信用保証協会はより厳しくチェックするようです。政府系金融機関の融資である日本政策金融公庫、公的機関である信用保証協会ですのでどうしても「私的流用」と見てしまう役員貸付金については厳しい評価を下します。
「公的資金がまた私的に流用されるのか」と判断され、時には赤字会社や債務超過の会社より厳しくみられるケースもあるようです。実際、コロナウィルス感染症関連の別枠融資制度について債務超過の会社では満額OKとなった案件が、役員貸付金が計上されている会社では減額・否決という事例がいくつかありました。
そんな背景から銀行や信用金庫の担当者から「役員貸付金清算プラン」の取り組み依頼を受けたことも何度かありました。
したがって役員貸付金清算プランは格付けが改善し資金調達力が向上することに大きく寄与する仕組みといえます。
※もちろん融資が下りることを確約するものではありませんのでご注意ください。
弊社では20年以上にわたり「役員貸付金清算プラン」に取り組んだことで資金調達がかなった先などを多く輩出することができ、手前みそながら感謝されたこと、当該法人や銀行・信用金庫では解決できない仕組みであることからこのプランに積極的に取り組んでいます。
<役員貸付金清算プラン成功事例>
1.印刷業(役員貸付金清算金額約2,400万円)
2.金属加工業(役員貸付金清算金額約24,000万円)
3.コンサルティング業(役員貸付金清算金額約2,000万円)
4.建設業(役員貸付金清算金額約9,000万円)
役員貸付金が多額に計上され(目安として2,000万円以上)融資の折衝に苦労している経営者様、そんな顧問先を持ち解決先に困っていた税理士事務所様、経常的に役員貸付金があるため融資の取り上げに苦労されていた銀行や信用金庫の融資担当者様、このプランについてぜひお問い合わせください。
本プランは、2022年10月以降、新たに取り扱いを開始したものです。
以前、ご案内申し上げ、ご活用頂いていた方法とは、別のものになります。
当時利用されていた保険会社の商品等は、本プランには含まれず、対象外になります。
詳細につきましては、お問い合わせ頂きましたら、御社の実情をお伺いし、その対応を個別にご案内いたします。