新型コロナから従業員を守るために知っておくべきこと
新型コロナウイルスの感染者はいったん落ち着いてはいますが、第二波・第三波が懸念されています。
今後も社内感染を防ぐために、会社ではどのような対処をすればよいのでしょうか。
また、新型コロナウイルスに関連して、いじめや嫌がらせが起きる可能性もあるといわれています。
今回は、新型コロナから従業員を守るための対応策を改めて検証していきます。
風邪の症状がある従業員は休ませよう
新型コロナウイルスは飛沫や接触で感染するとされています。
もし新型コロナウイルスに感染している従業員が咳やくしゃみをすると、その飛沫でほかの従業員が感染してしまう可能性があります。
また、咳やくしゃみをしたときに手で口元を押さえると、ウイルスが手についてしまいます。その手でドアや周囲のものを触ると、そこにウイルスが付着。
その箇所を触ったほかの従業員に感染してしまう可能性も出てくるのです。
こうした社内感染を防ぐためには、咳や発熱などの症状が出た従業員に対しては、風邪かそうでないかに関わらず、とにかく休んでもらうように促すことが大切です。
休みにできない場合は、テレワークの可能性を探ってもよいでしょう。
わずかでも感染の疑いのある従業員に関しては、会社で働かせないようにすることが大切です。
そのためには休業手当や周囲の了承など、従業員が安心して休むことのできる環境を整備することが必要です。
なお、新型コロナウイルスの可能性があるのは、風邪の症状や37.5度以上の発熱があった場合、全身の強いだるさや倦怠感、息苦しさを感じる場合などです。
従業員がこうした症状を訴えてきたら、保健所などに設置されている『帰国者・接触者相談センター』に問い合わせるように指示しましょう。
社内いじめや嫌がらせをなくすために
これまでにない状況に、事業者はもちろん従業員も戸惑っていることでしょう。
従業員を休ませたり、業務をテレワークに切り替えさせたりすることで、感染の拡大を防いでいる事業者も多いと思います。
しかし、すべての従業員に対して、同じような対応ができるわけではありません。
そのため、場合によっては、従業員間で対応に差ができてしまうことも考えられます。
たとえば、営業職をはじめ、業務上や部署の性質上などから、一部の従業員はテレワークなのに、一部の従業員は現場勤務を行わなければいけないという状況があります。
こうした状況では「あいつは家で仕事ができるのに、こっちは感染のリスクがあるのに出社しなくてはいけない」といった不満が生じやすく、職場内のいじめや差別、嫌がらせなどにつながるおそれがあります。
そのため、現在、厚生労働省では、新型コロナウイルスに関連したいじめや嫌がらせが起きないように留意するよう、事業者に呼びかけています。
不当な偏見や差別が生まれないように、事業者は正しい情報を見極めなくてはなりません。
そのうえで、従業員への周知や啓発、さらには各人に対する適切な相談などを行っていく必要があります。
同時に、会社に入る際のアルコール消毒やマスクの着用など、感染防止対策も徹底していきましょう。
また、新型コロナウイルスに関連して、新卒の内定者への企業の内定取り消しも問題になっています。
新型コロナウイルスによって業績が悪化した企業側からすれば、内定取り消しは苦渋の決断です。
しかし、内定取り消しには大きなリスクがあります。
内定者との間に労働契約が成立したとみなされたうえで、なおかつ内定取り消しが客観的に合理的な理由を欠き、さらに社会通念上相当であると認められない場合は、内定取り消し自体が無効になってしまうこともあるのです。
これまでの判例から、一度内定を出すと、原則的には内定者との労働契約は結ばれたことになります。
今回の新型コロナウイルスに関する内定取り消しは、外的な要因といえども、『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合』に該当する可能性は十分あります。
できることなら内定取り消しではなく、休業扱いにしてその間休業手当を支払い、休業手当の一定額が会社に助成金として支給される雇用調整助成金を活用するのも一手です。
新型コロナウイルス感染症による特別措置として、4月1日から6月30日までの休業において中小企業で解雇がない場合は、支払った休業手当の10分の9が助成されます。
新型コロナウイルスの感染を拡大させないことを第一優先に。
そのためには休みやすい環境を作ること。
そして、従業員間の待遇差でいじめや嫌がらせが起きないような対策を講じること。
さらに、新卒社員や入社が決まっている内定者への適切な対応を行うようにしましょう。